はじめに
令和2年10月1日より
和牛の精液や受精卵に関する法律が一部改正になったことを知っていますか?
昔は大丈夫だったことも今では完全NGになっています。
法律に違反してしまうと、悪気がなくとも罪に問われてしまうこともあるので注意が必要です。
知らなかったでは済まされないので、是非最後まで見ていってください。
なぜ法律が変わったの?
テレビなどのメディアでも取り上げられたので知っている人もいるかと思います。
ことの経緯は、中国人ブローカーから依頼を受けた日本の農家が、自身が所有する精液や受精卵を仲介人に依頼して持ち出しを計画、それを運搬者が国内から持ち出して中国へ密輸しようとしました。
ところが中国の検疫所で違法に持ち込まれたことがわかり事件が発覚しました。
この事件では、依頼を受けた農家、持ち出しに協力した仲介人、実際に中国まで運んだ運搬者が逮捕されました。
この事件を発端に和牛精液や受精卵の管理について今一度見直されことになりました。
黒毛和牛は世界に通用する日本の宝
日本の黒毛和牛は世界に誇るブランドです。
和牛農家の長い年月をかけて作り上げた努力の結晶です。
これが違法に世界へ流出してしまうと日本の和牛の価値が下がる恐れがあります。
先人たちの努力の結晶を無駄にせず、後世へとバトンをつないでいく必要もあります。
日本の和牛、日本の農家を守るためにも海外への流出は阻止しなければなりません。
『和牛』を守る法律
和牛精液や受精卵が不正な流出を防ぐために法律を改正して規制を強化しました。
家畜改良増殖法(一部を改正)
精液や受精卵が不正に流通しないために、家畜人工授精所や販売業者に徹底した管理が義務付けられました。
例をあげると、
〇認可を受けた家畜人工授精所でしか「精液・受精卵の譲渡(売買)」ができない。
〇適正に管理の上、管理内容を記録簿に記載しこれを10年間保存しなけらばならない。
など
認可を受けた家畜人工授精所だけが精液や受精卵を取り扱うことができます。
家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律(新設)
国を挙げて和牛をしっかり守るための法律です。
概要としては、
家畜遺伝資源に係る不正競争行為の定義を決め、不正競争防止法により処罰できる。
これにより、民事上でも刑事上でも処罰できるようになりました。
先の事件で関与した人たちにはすべて有罪判決が科せられています。
違法取引は関与したすべての人が罪に問われることになります。
精液・受精卵を購入する際の注意点
法改正により、今までよりも自由に売買を行うことは難しくなりました。
個人間の売買(闇種:やみだね)は法律で固く禁止されています。
販売するには正式な手続きをしなけらばなりません。
インターネット上で安易に販売をもちかけてくる業者は違法業者の可能性があるため注意が必要です。
購入にあたり授精所間で契約を結ぶ必要がある場合もあります。
購入するには授精師(授精所)に依頼しなければなりません。
個人では購入できませんのでご注意ください。
さいごに
最近では、SNS等を通じて営業・宣伝されているものもありますが
売り手側が法律の知識が浅い場合があります。
個人の授精所等で購入する際はより注意が必要です。
知らなかっただけでは済みません。
厳しい処分を科される場合もあります。
ご購入の際は、まずは授精師にご相談ください。
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