記事について

酪農の知識や経験の浅い人に向けた内容になっており、イメージしやすいようにやわらかく丁寧に説明するよう心がけています。

牛に超音波画像診断装置(エコー)を使うと何がわかるの??

人工授精

はじめに

近年、授精師界隈では従来の手による直腸検査に加え、超音波画像診断装置(エコー)を使った

診断が増えてきています。

安価なエコーが登場したことにより、各受精所においても少しずつ導入され始めました。

一昔前までは、エコーといえば獣医さんが使用するイメージが強いですが、

今では授精師さんも積極的に使用されるようになってきました。

北海道内でもエコーを用いた研修会が多く開催されており、エコー技術は日々向上しており、

エコーを使った診断は一般的なものになりつつあります。

エコーで何を見ているの?

基本的には、子宮と卵巣にエコーを当てて、その状態を確認して異常が無いかを見ています。

手では確認しづらいような小さな卵胞もエコーでならしっかり目で確認することができ

発情微弱牛の授精において役立てることができます。

また、子宮に炎症などの異常を発見できれば、獣医さんによる早期治療を行うことができます。

いつエコーを使うの?

主に、授精時、移植時、繁殖検診時に用いられます。

授精時の場合、子宮の収縮具合や首席卵胞の有無を確認していて、

良い発情が来ているかどうか判断しています。

繁殖検診時には、発情兆候が見られない牛たちの子宮に異常がないかを確認しています。

移植時には、黄体の大きさや内部の黄体組織を観察し、移植が可能かを

判断する材料の一つにしています。

エコーのメリット・デメリット

メリット

従来、手による触診で卵巣の状況を判断していたため、新人技術者とベテラン技術者との

技術の差が大きいことが課題となっていました。

それをエコーを使って、目で見て診断できることが、技術習得に長い年月がかかると

されていたことが大幅に短縮できることが期待されています。

 

デメリット

昔に比べるとだいぶエコーの価格が安くなってきたとはいえ、

それでも1台約100万円もするので、すべての授精所が導入するには

まだまだハードルが高いです。

また、エコーの使用にかかわらず、「直腸に手を入れて操作する」

という基礎的な技術は必要であることから

全くの新人技術者がすぐにベテラン技術者と肩を並べることは難しいです。

今後さらに改良されて誰でも容易に使用できる機器の登場に期待したいです。

さいごに

長い年月をかけて一人前となる授精師ですが、エコーによって様々な技術革新が起こっています。

授精師は、日々技術を磨きながら酪農家の皆さんの一助になれればと考えております。

今後も酪農家さんのために技術を磨いて行きたいと思います。

 

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