記事について

酪農の知識や経験の浅い人に向けた内容になっており、イメージしやすいようにやわらかく丁寧に説明するよう心がけています。

移植用の受精卵について解説【初心者向け】

繁殖講座

受精卵とは?

精子と卵子が結合することで受精卵になります。

この受精卵が子宮の中で成長して胎児となり、妊娠期間を経て赤ちゃんが産まれてきます。

受精卵を取り出す作業を採卵といい

取り出した受精卵は、そのままの状態では死んでしまうので

精液と同様に冷凍して保存します。

一般的に【受精卵】とは、この採卵した受精卵のことを指します。

 

受精卵の種類

受精卵には採卵する方法によって分類されます。

大きく分けて、【体内受精卵】と【体外受精卵】の2つに分類でき

さらに体外受精卵は、【生体由来】と【屠畜由来】に分けることができます。

移植用の受精卵は【体内】【OPU】【IVF】の3つに分類することができます。

体内受精卵

母牛に人工授精を行い、子宮の中にある受精卵を取り出したもの。

一般的に流通・販売されている受精卵の多くは体内受精卵です。

体外受精卵

卵巣から卵子を採取して、体外授精を行って作る受精卵のこと。

卵子の採取方法によって分類でき

生体から採取する方法と屠畜された個体(卵巣)から採取する方法の2つがあります。

また、生体から卵子を採取する方法を【OPU】といいます。

体外受精卵はIVFと表記されたりします。

生体由来ではOPU-IVFと表記されることもありますが一般的にはOPUのみです。

なので体外受精卵は、OPU(生体)とIVF(屠畜)で区別します。

 

受精卵の特徴

体内受精卵

・安定して高い受胎率が期待できる
・流通量が多く入手しやすい
・採卵に係る薬品の処置が大変
・採卵による供卵牛の負担も大きい
・供卵牛のコンディションが受精卵に与える影響が大きい
・普及率や認知度も高い

体外受精卵(生体由来 OPU )

・採卵コストが高い
・採卵による負担が小さく採卵回数が多くできる
・現段階では、体内受精卵と比べると受胎率はやや劣る
・体内受精卵よりも価格が高くなりやすい
・製造方法(獣医師)によって、品質(受胎率)の差が出る
・採卵できる獣医師が少ない
・アメリカでは主流になりつつあるが、日本はまだ発展途上

体外受精卵(屠畜由来 IVF )

・採卵コストが小さい
・大量に受精卵を作ることができる
・母牛の特定ができないため、基本無登録である
・追い移植用の受精卵などに用いられている
・屠場が休みに入ると受精卵が作れない
・受胎率はあまり高くない

 

受精卵移植の受胎率

新鮮卵の移植(生移植)については、体内・体外に差はほとんど無い。

しかし、凍結受精卵になると大きく差が出てしまいます。

参考値

体内凍結卵:45〜55%

OPU凍結卵:35〜45%

IVF凍結卵:30〜40%

※牛の状態や移植する技術者によっても受胎率は変化します。
※同じ受精卵でも採卵方法(獣医師)によっても差が生じます。
※あくまでも目安程度に考えてください

 

さいごに

技術の発展とともに受精卵の種類も増えてきました。

授精戦略において受精卵移植は当たり前になりつつあります。

乳牛改良はもちろんのこと、和牛受精卵を使った個体販売など

活用の仕方は多岐にわたります。

たくさんの種類の受精卵が流通しているなかで

目的に合った受精卵を効率よく探せるように

少しでも参考になれば幸いです。

 

 

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