記事について

酪農の知識や経験の浅い人に向けた内容になっており、イメージしやすいようにやわらかく丁寧に説明するよう心がけています。

黒毛和牛最高傑作「福之姫」とは?

種雄牛

和牛のスーパースター「福之姫」

日本の和牛業界でこの名を聞いたことがない人はいないくらい

人気・実績ともにNo.1 それが「福之姫」です。

父「芳之国」✖️ 母「ふくひめ3」から誕生し、

今日まで偉大な記録・功績を残し、和牛業界を牽引し続けた名牛です。

 

福之姫との突然の別れ

令和5年6月、日本の黒毛和牛業界に激震が走る。

黒毛和牛種雄牛の人気・知名度ともに不動のNo.1だった

福之姫が急死したとの噂が入りました。

過去にも凍結精液の供給が困難なことが続いたこともあり

福之姫の死亡説はたびたびありました。

だが今回だけは違いました。

公式に家畜改良事業団さんより福之姫が死亡との発表がありました。

現在に至るまで、他を圧倒する人気・功績を考えてもあまりにも惜しい

名牛がこの世を去りました。

 

福之姫の誕生秘話

福之姫を作出する際、母「ふくひめ3」に授精する種雄牛選定として

当時、事業団の看板牛であった、芳之国美津百合が候補として検討されていました。

最終的には、母「ふくひめ3」が栃木県の牧場が所有していることもあり、同じ栃木県産種雄牛の芳之国が選定されました。

平成24年8月4日に無事誕生し、種雄牛として歩み始めました。

がしかし、翌年に父「芳之国」がIARS異常症という遺伝病を保因していることが判明しました。

これにより父「芳之国」は殺処分されてしまいます。

同じ遺伝病を保因していないか、福之姫を含めた他の息子牛たちも検査されることになりました。

ここでの結果で、IARS異常症を保因していれば父牛同様の運命となります。

保因確率は「1/2」 = 50%の確率でが待っています。

 

結果は、IARS正常でした。

他の息子牛の多くは犠牲になっていた中、福之姫は天性の強運で生き延びました。

 

輝かしい功績

供給精液本数

後代検定のときから前評判がよく、供給が開始されてから今日に至るまで、人気は衰えることはなく供給は常にひっ迫していました。

幸いにも採精においては、順調で年間通しても安定しており、週2回行うことができました。

途中怪我などで休止してしまう牛もいるなかで福之姫は特に健康で丈夫な牛だったことが伺えます。

凍結精液の供給本数は、令和4年度末までで約38万本(事業団歴代11位)となっています。

供給期間が5年という短い期間であることから異例の早さであることがわかります。

もしも今も生きていれば、歴代1位の記録も狙えたことでしょう。

福之姫由来の子牛頭数

福之姫由来の子牛登記申請頭数は令和5年5月時点で約15万頭(歴代5位)となっており

R3〜R4年の一年間で5万頭も出生頭数が増加しています。

これだけの出生頭数になる要因の一つとして

子牛市場において雄雌問わず安定した価格で取り引きされていて、しばしばトップセールスを記録するなど、かなり話題になりました。

現在も安定した価格で取引されていることもあり、当面は福之姫由来の産子の人気は衰えることはないでしょう。

 

福之姫の後継牛たち

福之姫が亡き今、新たなスターを生み出すための計画交配がされています。

福之姫の後継牛として「福之鶴」が注目されており、福之姫の息子牛検定済み種雄牛第1号でありながら父を大きく超える脂肪交雑能力を発揮し、令和4年10月より供給が開始されています。

次に注目されているのが「福勝鶴」であり、前評判から既に精液の注文が殺到している1頭です。令和5年10月より供給開始ですが既に供給がひっ迫し始めている状況にあります。

 

さいごに

今後、福之姫を超える牛の登場に期待しつつ、こんな素晴らしい牛を作出した家畜改良事業団さんに1人のファンとして感謝申し上げます。

なお、本記事作成するにあたり、家畜改良事業団さんが発行している「LIAJ NEWS」No.201より特集【黒毛和種の改良の一時代を築いた「福之姫」】から一部引用・参考にさせていただきました。

URL【http://liaj.lin.gr.jp/index.php/detail/data/d/2714063390】

1人でも多くの人に福之姫を知ってもらえればと思い本記事を制作しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました